手作りマスクの世界

札束がマスクに見えてしまうほどの日

深夜ドラマを見ていたら、シルバーのトランクをパカッと開けるシーンで、危ないお金が詰まっていました。

帯封の札束が、なぜかマスクの束に見えてしまったワタシです。

本来価値のないはずの物に、信じがたいほどの価値や欲望を刷り込まされているような錯覚を憶えたのでした。

マスクは本来、織物でもプリント生地でもない、化学繊維を絡ませたシートです。

医療用としての利用価値は他くても、使い捨てが前提であり、これまで物として非常に価値が低かったのですが、マスク不足のために変な価値観がつき始めています。

ハンドメイドブームがここ数年来あり、これまでにも手先の器用な人がその才能を生かして個人でも販売ができるサイトが盛況でした。

しかし、ここにきて、手作りマスクムーブメントが到来していました。

プロ顔負けというか、もうほぼプロと呼べるくらいの手作りマスクが凄い勢いであふれています。

ツイッター然り、、物凄いと言えるほどのパワーです。

つい先日まで、販売や転売が放置状態であったため、本気度が違うのでした。

あまりにも達者すぎるような物から、初めての洋裁調まで色々でしたが、
皆共通している点は、楽しそうであることでした。

自分の作ったマスクに満足感と達成感を持っており、どこか自慢げです。

マスクには、フェチとは違うけれどもアイテム的な独特の嗜好性があるような気がしました。

ちなみに、製品的なものからいかにもハンドメイドというものまでいろいろありますが、オーソドックスなハンドメイド、本来の手作りマスクは、少し恥ずかしい感ムードが漂います。

よくハンドメイド品には、可愛いプリント柄や無意味な感じの花飾り、リボン、レースのたたきというディテールがありますが、この特徴が手作りマスクにも表れています。

最も、最近の人の手にかかると、製品並みにスタイリッシュに仕上がった物も多く、古典的ないかにもハンドメイドと言う物は今では少数派です。

以前、ビジュアル系マスクとしてカモフラージュ柄(迷彩柄)をご紹介したことがあるのですが、それですら、恥ずかしく感じる(派手という意味でかも知れませんが)方もいたため、マスクの柄や加工というものは未開拓な世界なのかもしれません。

皆服には鈍感なくらい色や形が豊富なのですが、こと、マスクとなると白一辺倒です。

衛生用品だからでしょうか。

これほどまでに盛況を極めている手作りマスク、一緒になって作っていたら踊らされている感があるものの、いつか、マスクぐらい作ったことないも!?と言われそうなため、ひとまず、経験ありとするため何枚か製作してみました。

材料は、ガーゼのミニハンカチや手ぬぐいなど、家の引き出しの中を開ければ出てくるような物ばかりです。

マスク作りには、テクノロートという針金や耳ゴムなども必要なのですが、現在売り切れで入手不可能なため、古くなった不織布マスクの再利用です。

Wガーゼであれば、一重のプリーツで、手ぬぐいであれば裏ガーゼ付きにしました。

慣れないこともありますが、1枚作るのに相当時間がかかってしまいました。

しかも、小さい物のため、2～3ミリ程の誤差でも大きくサイズ感が変わってしまう難しさがあります。

コシがなく伸びるガーゼは、裏地として2重として使うと扱いにくいのなんの…。

カンタンだから、沢山縫っちゃった!って、みなみなさん、凄すぎます。

柄物のマスクというのは面白く、どこに動画らを入れるのか、どういう柄を使うのかという楽しみがあります。

ただし、やはり衛生用品が発祥のものだけあって、白地の物が最終的にしっくり爽やかに落ち着くようです。

縫いあがった時にお洒落にみえる濃い色の生地や好みの柄が、身に着けると重苦しかったり、可愛いはずにの柄が何の柄であったかわかりにくくなったりもします。

そしてやっていくうちに、だんだんとあの恥ずかしいハンドメイド的な世界に踏み出しているのでした…。

10年前の新型インフルエンザの時のように、ウィルスがいつしか終息して、お店に過剰在庫となったマスクが山積みされ見向きもされなくなる日がくるのかもしれません。

しかし今回に限っては、そのような日が早く来て欲しいと願いつつも、手作りマスク、布マスクまで価値のない物とならない世の中であればと思います。

素材・センス・縫製など価値のある物に価値が見いだされるようになってもらいたいのです。

面倒くさがらずにやってみると、ハマりますよ~!